レッスンブログ

まずは「1000時間」を目指そう!

「どのくらいで弾けるようになりますか?」という質問をよく受けます。
「弾ける」とは?
『楽譜屋さんで気に入った曲の楽譜を買ってきてそんなに難しくなければ練習さえすれば弾けて、ハイドンやモーツァルトの簡単な弦楽四重奏くらいなら仲間と楽しめて、出来ればアマチュアオーケストラに参加できる』くらいのレベルが多くの方が考える「弾ける」という状態ではないでしょうか?
実際、このくらいのレベルに到達すれば「わたしはチェロが弾けます」と言って差し支えないと思いますし、周囲の人たちからは「あの人はチェロが弾ける」と認識されます。友人達からは羨望の眼差しで見られ、結婚式やパーティーともなれば演奏を頼まれるでしょう。

さて、そういう自分になるためにはどうしたらよいのでしょう。
「1000時間理論」という言葉をご存じでしょうか。
よく英語の教材を販売するサイトなどで目にします。
1000時間英語を学習すれば簡単な会話で困らない程度にある程度英語が身につきます、という基準だそうです。
この考え方は”身につけるもの”として楽器の演奏にも応用できると思います。私は20年以上チェロのレッスンを続けていますが、生徒さんたちの上達を見てもそう思います。
また、自分自信の体験として私は40歳を過ぎてから、チェロだけではなく人生色々な事を
身につけたいと思い”ナントカの手習い”で、法律、居合道、船の操縦などを勉強し資格や段位を取得していますが、やはり初学者が一定の能力を身につけるのに1000時間というのはとてもいい基準だと思います。

1000時間と言えば・・・・
1日3時間練習するとして・・・1年。
1日1時間練習すれば・・・・・2.5年。
1週間に5時間なら・・・・・・・5年。
1週間に2時間なら・・・・・・10年。

そう、だいたいこのくらいです。
才能やセンスは関係ありません。
せっかくチェロを始めても多くの人は1000時間に到達する前に「私には才能がない」とか「もう年だから・・」とか「私は手が小さいから・・」とか言って諦めてしまうのですが、楽器の演奏は語学や自動車の運転などと同様”身につけるもの”です。人間の能力なんてそんなに大差ありません。ましてソリストを目指すわけではありませんから、才能やセンスや年齢や多少の身体的な差異は関係ないのです。

語学の勉強などで「ブレイク・スルー」という言葉を使うのを目にします。
足踏み状態からある一定の学習時間を過ぎた途端に急に英語が聞ける(話せる)ようになる、という意味だそうですが、楽器の上達も少し似ています。
毎日少しづつ上達するというより、階段を登るように段階的にある時期に突然上達したりします。練習の過程で上達を実感できない局面もあると思いますが、続けてさえいれば次の上達のステップは必ず来ます。

繰り返しになりますが、練習に費やした時間はとても大切です。
私は自分のレッスンには自信を持っていますが、それでも1000時間を800時間・700時間に短縮して差し上げることはできても(『効率よく学べます』とはそういう意味です)500時間に短縮することはきっとできないと思います。
仮に誰からもレッスンを受けずに独学(毒学)でチェロを学ぶことはあまりに無謀で2000時間あっても満足に弾けるようにならないかもしれません。でも正しい学習法で一定の練習時間をこなせばほとんどの場合は弾けるようになります。

”身につく”とは考えなくても身体が勝手に動く状態です。
学習の過程での理解は非常に大切ですが理解だけでは全く不十分です。例えば野球のルールを完璧に覚えてもそれだけでは野球ができるようにならないのと同じです。理解したものを何度も繰り返して”身につける”ことが大切です。繰り返しさえすれば毎日通う道を自然に覚えてしまうように誰でも”身につける”ことができるのです。
「ブレイクスルー」を信じ毎日繰り返し練習し、自己を”パブロフの犬”化する。これが楽器上達の王道だと思います。

合格率に限りがある大学入試や国家試験と違い、チェロの演奏はレッスンに通い日々練習する精神力と時間、これさえあれば合格率は100%に近いのです。
え?信じられない?
反論は1000時間を克服した後に聞きます!

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