レッスンブログ

シリーズ『オンラインレッスンの現実』【1】

コロナ禍でオンラインレッスンが大ブレイクですね。
私は10年ほど前の2010年ころからSkypeでオンラインレッスンをしていますが、10年前と比べると機材も通信環境も格段に進歩しました。

とはいえ、オンラインレッスンは便利な半面、対面でのレッスンと比べ問題点も多いと思います。
今回はシリーズで、教える立場からオンラインレッスンの現実について本音で(←ここ重要)語っていきたいと思います。
本当にありがたいことにお陰様で私の教室はいつもほぼ満員御礼です。うまいことを言って生徒を集める意図はありませんので安心してお読みください。

まず第1回目はオンラインレッスンの利便性について、表と裏から考えていきたいと思います。次回以降は実際のレッスンでの問題点などを考えていきます。

利便性について

教室に通う必要がないわけですからオンラインレッスンの利便性に高さに関しては論を待ちません。
実際に会うわけではないのでコロナでも全く問題なくレッスンが行なえます。

10年前に私がオンラインレッスンを始めたきっかけは、冬の北海道の交通事情でした。
大雪などでJRや高速道路が不通になると地方から来る生徒さんがキャンセルになります。そうなるとお互いに不幸ですよね。
なのでオンラインレッスンを導入しました。大雪になればオンラインに切り替えるだけなのでお互いに時間が無駄にならずに済みます。
以来、オンラインレッスンをサイトで告知したところ、当時はオンラインレッスンをしている人が非常に少なかったこともあり、チェロの先生がいない場所からのレッスン依頼が来るようになり、遠くは奄美大島やニュージーランドに赴任している方のレッスンをしていたこともありました。

そのような訳で、対面レッスンに劣る点を考慮した上でもオンラインレッスンとは実に便利で革新的なものと痛感しました。

利便性の裏側に

そのように便利で革新的なオンラインですが、時代が下ってオンラインレッスンも陳腐化し、特にコロナ下の昨今では大手教室のネット広告が目立つようになりました。市場がオンライン英会話のようにレッドオーシャン化してくると次に来るのは薄利多売ですよね。

そして、教室の立地は一切関係なくなるのでまさにワールドワイドです。集客方法も個人教室が電信柱や近所のスーパーの掲示板にチラシを貼ってもほぼ無意味です。ネット広告を出せる資本力のある教室が一人勝ちする状況が来るのかもしれません。

さて、具体的なお金の話です。従来の対面レッスンの場合、大手教室に先生として雇われている場合(講師は外部から歩合で雇われている場合がほとんどです)のレッスン料の取り分は、「教室6、講師4」から「教室5,講師5」くらいが相場です。「教室4,講師6」だとかなり良心的ですね。
さらに1日8時間ギッシリ予約が入っている教室などよほど大都会の大人気教室以外はないでしょう。
仮に1日よくて2〜3本の予約が時間飛び飛びで入っているとなると、音楽教室のウェブサイトでよく見る『一流の講師』にその日給でクォリーティーの高いッスンを求めるのは厳しいものがあります。
自宅の個人レッスンに生徒を誘導する手もありますが(個人レッスンならレッスン料は100%自分の収入になるので)、そうした行為が厳しく禁止されている教室も当然ながら少なからずあります。

今後、オンライン化によって薄利多売が進み資本力の大きな安売り教室が参入してくると、個人教室はますます生徒を集めにくくなります。
オンラインはグループレッスンも難しいので個人レッスン中心になります。そうなると先ほど書いたような安価な収入で働かざるをえなくなります。そうした結果、業界全体が疲弊していくことは避けられないでしょう。そうならないのを祈るばかりです。

みんさんが教室選びをされるときは以上の点を踏まえて、大手教室の場合はおおよそ『支払う額÷2=講師の収入』であることを念頭にあまり安すぎるレッスン料のところは避け、適正と思われる価格の教室を選択することが、質の高いレッスンを受けるためによいことと思います。

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