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チェロと飛行機に乗る

チェロと飛行機に乗る(2012年2月現在)

チェロを持って飛行機に乗るのは20年くらい昔は簡単でした。何食わぬ顔で手荷物で機内に持ち込めばスチュワーデスさんが丁寧に隣の席を確保してくれて、しかも「お仕事で弾いてらっしゃるんですか?、へ~、すごいですね。」なんて感じのいい会話付きです。
でも10年くらい前からチェロを飛行機に持ち込むのが急に難しくなりました。正確に言うと、”タダで”持ち込むのが難しくなりました。現在では難しいというより不可能になりました。要するに、チェロを乗せるための座席分もお金を払って確保しなくてはならなくなりました。
しかも、ある頃からチェロが狙い撃ちされるようになりました。飛行機会社のマニュアルに「チェロは~」と書かれていたようです。当初は「楽器はなんですか?」と訊かれて「ギターです」と答えれば機内に持ち込めたのですが、その技も1年くらいで通用しなくなりました(笑)。
飛行機に乗る度に2座席分(正確には1.5座席分~後述します)のお金を払うのは厳しいので仕方なく預かって貰います。それでも昔は「貴重品です。手渡しでお願いします」と言うと、”手渡し”と書かれた札を付けて、ベルトコンベアーに乗せずに係の人が手で運んでくれました。しかし、その制度もいつのまにかなくなってしまいました。
さすがに、ベルトコンベアーで他の荷物とゴッツンゴッツンぶつかりながら出てくるチェロを見るのは心臓に悪いです。
というわけで、本当に仕方なくチェロの座席の分もチケットを買って機内に持ち込むようになりました。荷物用の座席のチケットは『AB券』と言って昔は大人の半額でした。ただし正規料金の半額なので、格安チケットを取ると下手をするとチェロの席の方が高くついたりしました。

さて、そんなこんなで、飛行機会社の制度がめまぐるしく変わり、私たちチェリストはそのたびに右往左往するわけです。 一体今はどうなってんの??
というわけで、ANAとJALに電話してきっちり調べてみたのでご報告します。
ちなみに身分は明かさずに電話しました。「あ~~、俺っち、20年ぶりにチェロと飛行機さ乗りたいんだけどもよ・・」 という感じで質問してみました(笑)。
ただし、国内線です。国際線まで話を広げると際限がないので。

まず、チェロはAB券を買って機内に持ち込むか、手荷物として預けなくてはいけません。これは各社共通です。
以下、下記の通りです。チェロと飛行機に乗るときの参考にしてください。

ANA
・AB券(チェロの座席)・・・全国一律1万円(一路線)
・預かり・・・手渡しの制度はなし。ただし、航空会社が用意するコントラバスを運搬するためのケースにチェロをケースごと入れて預かる方法がある。料金は5,000円。
・保障・・・チェロが破損したとき、原因が会社側の過失の場合、保障は15万円まで。ただし、1万円につき10円で保障額を上げることができる。(例:2,000円払うと会社側の過失でチェロが破損した場合、215万円まで保障される)

JAL
・AB券(チェロの座席)・・・全国一律1万円(一路線)(ANAと同じ)
・預かり・・・手渡しの制度はなし。コントラバス用のケースの制度もなし。(コントラバスを入れる本来の目的としての制度はある)
・保障・・・ANAと同じ。

【わたしの結論】
手荷物預かりには何度も出していますが事故は一度もありません。保障はしませんがある程度安全だと思います。
よって、100万円以下の楽器はケースの中にプチプチを入れるなど自衛して預ける。但し、万が一を考えて1,000円払って補償額を115万円にしておく。
ソフト・ケースの場合はこのさいハード・ケースを買う。
100万円以上の楽器の場合は観念して1万円払ってAB券を買って機内に持ち込む。
以上です。


飛行機の座席に置いたチェロ。なんとも収まりが悪いです(笑)。
シートベルトはそのままではまわらないのでスチュワーデスさんに言って「補助ベルト」を貰うといいです。

ではよい旅を。

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